2007年度 vol15
かもめ保育園職員が人命救助!!
~今月のMVPは樋詰!~
毎日楽しく遊んでいる海。だけど油断は禁物!波で足が掬われて転んだ途端に溺れそうになることだってないとはいえません。海でも子どもたちの人数を何度も何度も確認しながら保育しています。大人の目は陸からも海からも子どもたちに向けられています。それでも何かが起こった時にすぐ対応できるように、毎年必ず救急講習会を開いて『心肺蘇生法』を学習しています。
そうです。それは、7月19日のことでした。この日も実は『救急講習会』の日でした。
いつも遊んでいるかもめの海で、おばあさんが溺れて海に浮いていたのです。発見したのはたまたま海水浴にきたおじいさんとアメリカから里帰り中の娘さんとお孫さんの3人でした。
第一発見者のお孫さんは『デッド ボデイ!』と叫んでいたそうで、もう死んでいると思ったそうです。おそろしくてさわれなかったけれど、娘さんとおじいさんでなんとか陸までは引き上げてくれていました。
これから海にいこうとしていた子どもたちは、まだ防波堤の内側にいました。ちょっと顔をだした純花に『だれか呼んできて!』と娘さんが声をかけました。
純花『おばあさんが海で死んでる』
藤原『?そんなことないよ。?』あわてて覗いてみると『だれか倒れてる!助けて!』と娘さんが走ってきました。あわてて電話を取りに中へ入った藤原ですが、風よりも速く、樋詰が携帯電話を持って代りに外へ駆け出しました。死んでる?助かるのか?迷いましたが、とりあえず子どもたちは混乱を避けるため海かもめの中にいれることにしました。
走りながら119番に通報した樋詰は、状況を説明し、早速指示を受けながら心肺蘇生法を始めました。まわりを見ても他には一緒に誰かいた気配はありません。おばあさんの靴が揃えて置いてあって、その横にはバスタオルや着替えなどの入ったビニール袋が置いてありました。おばあさんは靴下も衣類もしっかり身につけていました。泳いでいたようにも思えません。口はしっかり結ばれたままです。
『・・・27、28、29、30』樋詰の必死の心肺蘇生法が繰り返されます。
おばあさんの口から『プシュー』と何かが零れ出ました。大丈夫です。おばあさんはどうやら息を吹き返したようです。娘さんがそのかたわらで、『こわかった~。もう死んでるかと思ったの。来てくれてよかった』と話してくれました。救急車が来るまでの時間がとても長く感じられました。
やがて救急車、消防車、警察のパトカーとどんどんやってきて、海かもめのまわりに近所のおじさんやおばさんが様子を見にきました。
『子どもかい?』
『うちの子どもたちはみんな元気です。』
『よかったね』
騒ぎに気づいてななめ向かいのサポートハウスの男性職員が『うちの入居者だと思います』と駆けつけてきました。身元もわかりどうやら一安心。
大活躍の樋詰は、消防署の職員からも警察官からも、警察からの電話でも、『通報者の方はいますか』『名前は?』『住所は?』『年齢は?』などと何度も聴取されていました。第一発見者のおじいさんも同じです。
『海に遊びに来ただけなのになあ。疲れちゃったなあ』と。それでもおばあさんが助かったのでホッとしていたようです。
谷から聞いた話しですが、近所のおばさんが
『あんたたちがここにいたから、あのおばあさんは助かったんだよ』と言ってくれたそうです。
『これで今日の講習しなくていいんじゃない!』と消防署の方に言われましたが、この日の講習は、目の前で起こった出来事に身が引き締まる思いで、みんな真剣そのものでした。父母の参加は久光父さん、宮田母さん、松田母さんと少ない人数でしたが、来年は是非参加しませんか。
樋詰がおばあさんを助けたことは、子どもたち全員に話しました。木口さんが騒ぎをみて心配して駆けつけると、摩梨子『おばあさん死んでたんだよ』『?』『樋詰がね、助けたの』どうもみんな第一声は『おばあさんが死んだ』『おばあさんが死んでた』となるのですが、そのあとは
『樋詰が助けたの』『樋詰がね、生き返らせたの』となったようです。
3、4日入院しておばあさんは無事に戻ってきました。ほんとうによかったね