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かもめニュース

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2002年度〜2006年度

2002年度 Vol12

傷付いた子リス さあ、どうしよう

 5月15日夕方。池内母が、かもめ駐車場で数羽のカラスに突き回される子リスを救い出して、かもめにつれてきました。取り敢えず、朝まで発泡スチロールの箱に入れておくことに。
 翌日の朝、園庭に出して、子どもたちとご対面です。子リスは箱の中で小さな体を震わせていましたが、水を与えると少し落ち着いた様子です。
 こどもたちは、口々に「かわいい」「かわいい」を連発。園内にいる高川に、「飼ってもいい?」と代わる代わる聞きに来ます。
 「みんなで話し合って決めたらいいよ」と言い置き、しばらくしてリスを囲む子どもたちの輪に入りました。リスが、保育園に来た顛末を話したうえで、「さあ、どうしたらいい?」と考えさせました。

 玄基、大輝「かわいいから、飼いたい」 亜弥美「お母さんがいなかったら淋しがるから、お母さんに返してやりたい」 天来「返してあげよう。お母さんのところがいいよ」みんな、自分の意見をはっきり言います。そのうち、「森に返さないと仲間に会えなくなるから、かわいそう」という意見も出てきます。小さな命への慈しみと優しさが、どの子どもたちからも感じられてうれしくなりました。

 結局、森へ返すことに決まります。問題は、そのまま放してやっていいものかどうか。おびえているような子リスが、子どもたちの願いどおりに母親のもとへ帰れるのだろうか心配です。知り合いの自然保護活動家にアドバイスを受けると、「素人では無理でしょう」と言って、小樽にたった一人の「鳥獣保護士」を紹介してくれました。
 ”いざ、連れて行こう”と箱のふたを開けてみたら、もぬけの殻。自力で脱出したらしいのです。そのころ、園庭のまわりに何匹かのリスを見かけたそうです。仲間が”救出”をうかがっていたのでしょうか。無事、母親のふところへ戻っていてくれたらいいなぁ、と思います。

 今回のことを通して、子どもたちのなかにとても豊かな感性が育っていることに気がつきました。毎日、リスに餌をやりながら、餌を食べる様子や木から木へ飛び移る様子を見ているうちに、箱の中に飼うことはかわいそうだと理解できるようになっていたんですね。
 園庭に、リスや小鳥の餌場をつくることを提案し、自分の家から餌をもってきて、ねばり強く餌付けしてくれたのは今西さんです。今西さんのまいた種が、子どもたちの中に自分とは違う生き物への思いやりとして芽吹き、花を咲かせているのだと思います。

 年長組になったら、なんでもすぐできると思っているようです。
実はこの日、結晶(3月卒園児)がいたので、みんなで聞いてみることにしました。
すると、結晶の答えは・・・「えの具は・・・・いっぱい絵を描いてから」「コマは、サンタさんがクリスマスに持ってきてくれるよ」「とび箱は難しいからいっぱい遊んだら・・・」と教えてくれました。これにはどの子も「うん、うん」と納得した様子。きっと、どの大人に教えてもらうより、結晶の言葉が一番説得力があったと思います。ありがとう!結晶!
 年長組の一日は、掃除に始まり、掃除に終わります。当番活動は覚えたてなので、まだまだ、行ったり来たり忙しく走り回っていますが、これから、みんながかもめで気持ちよく過ごせるように、がんばって行こうね。