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かもめニュース

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2007年度〜2011年度

2007年度 vol39

【高川の保育日誌】

子どもの何気ない言葉や仕草に接して、その子の成長を実感するのは保育の”愉しみ”。それは保育士の”学びの契機”でもあります。以下、最近ネタから。

日々「進化」する いくら組


イヨーッ、名コンビ!

 1歳、初レビュー  亮佑(1歳7ヶ月)が「かきね、かきね」と言います。何のことだろうと戸惑っていると、傍らにいた石田が 「亮ちゃん、♪かきねの、かきねの~ 、かい?」と歌うと、彩世も駆け寄ってきて、二人で両手を振って歩き出し、「♪あ~たろうか」にさしかかると、二人で顔を見合せます。
 年長のフリを上手に真似してご満悦です。
 次は「うさぎ」です。亮佑のかかとが両方ともチャンと床から上がっています。 「亮ちゃん、スゴイ、スゴイ」と浅野も加わって、大人3人が感激の拍手。

見る目は確か


面倒見のいい 華蓮お姉さん

 一緒にご飯を食べていると、和弥が高川の顔をのぞき込んでは「ババ、ババ」と言います。何を言われているのかピンときません。反応なしと見るや、「ババ、ババ、ババ」と畳かけるような大攻勢。
 傍にいた石田が笑いをこらえているのが目に入り、日ごろ歳なんか忘れている高川もようやく意味がわかりました。「ハイ、ハイ」と応じると、気をよくしたか、また「ババ、ババ」。暫く「ババ、ババ」「ハイ、ハイ」の応酬が続きましたが、何だかお婆さんとしての自覚を促されているような気分に。それにしても、1歳児にして、目鼻ばかりでなく、皺やたるみまで識別できるんですね。

イナバウアー


いっぱい、食べようね

 洸希の健啖ぶりは、ほれぼれするほどです。 もりもり食べて、ミルクもあっと言う間に飲み干します。 そんな洸希ですが、いったん嫌いなものがでたり、反対に好物がなくなったりすると、「ワーン」と泣き出し、椅子から転げ落ちそうになるくらいのけ反ります。超難度の「イナバウアー」が自己表現です。
 「とっておき写真」のシャッターチャンス!と思うのですが、床に落ちてしまいそうでカメラを取りに行く余裕がありません。ポケットにカメラを忍ばせているときには、どうしてかやってくれません。
 そうこうしているうちにみんなと同じものを食べられるようになり、誕生日(12月4日)を迎えて食卓もいくら組の仲間入りです。卒乳もスムースにでき、難しい峠を一つ越えました。

バアちゃんの証拠

 結晶の朝の挨拶は、「高川~、足なおった?」。
「ウーン、まだ少し痛いの」と、その度に「病状」を説明しなければなりません。
 ある時、つい「治ったよ」と言ってしまいました。たまたま傍にいた陽太、高川が足につけている治療用の装具に目をとめて「ホントカナ、ホントカナ、ホントカナ~♪」と剽軽な仕草で踊り始めました。 普段は口数の少ない陽太の戯けようを微笑ましく見ていると、駿祐が寄ってきました。 「高川、足イタイの?」 「ウーン、チョッと痛いかな」 「どうしてイタイの?」 「高川、年寄りだからね」 「高川、年寄りじゃないよ。うちのバアちゃん、両方の足イタイけど、高川、片ッポだから年寄りじゃない」  ウーン、高川としては嬉しいけど、”年寄り判定基準”としてはチョッとね。

におい その1

 高川が一人でいる部屋に、間の悪いことに林兄弟が入ってきました。
駿祐「何だかクサイ」
優佑「おならみたいなにおい」
高川(進退窮まって)「ゴメン、おならしちゃったの」
優佑「エーッ! うちの大人はおならするよ。でも、かもめの大人はおならしないんだよ」
高川「… (-_-;) 」
 たまたま入室してきた”かもめの大人”Aにソッと聞いてみました。
「おならしたことない?」
「する、する。子どもがいないのを見はからってするよ」
ソーか、要するに、いかに速やかに証拠を消すかが問題で、後は、素知らぬ顔をしていればイイというわけ。ソウなのね、A ?

におい その2 (この項、記:高川オジさん)

 山風庵(高川小屋)に子どものジャンパーの忘れ物。何日経っても誰も取りに来ません。高川オジさんが”持ち主不明だな”と持てあましていたところへ、くじら組みが遊びに来ました。
 樋詰に事情を話すと、「ア、わかりますよ」とこともなげに言い、「タッケー、チョッと来て!」と武琉を呼び寄せました。 武琉は、ジャンパーに鼻を寄せてクンクンしたかと思うと、 「向陽(卒園児)のにおいだ」とキッパリ。
 オジさんがビックリして声を呑んでいると、子どもたちが次々に鼻をあて、 「ウン、向陽だ」と、同じ”鑑定”を下します。
 「スッゴイなー。でも、大人になるとこういう嗅覚も退化するんだろうな。もったいない!」と樋詰に言ったら、武琉が耳ざとく 「タイカって、なに?」 「退化ってねぇ、ウーン…」  なかなか、うまく説明できずお茶を濁してしまいました。あの鋭い嗅覚に、返答のいい加減さを見抜かれてしまったに違いありません。
 大人になるにつれて色々と余計なものを身につけちゃう分だけ、大切なものを失っていくんだよ、ということを言いたかったんだけど。 数日後、小屋で女性の来客と話しているとき、また、くじら組みが来ました。
 高川オジさん、かもめっ子の”超能力”を自慢したくて、 「このオバさん、どんなにおいする?」  みんな入れ替わり立ち替わり、クンクン。 「堆肥のにおい」  (オイオイ、何ていうことを) 「馬糞のにおいだ」  (ウワー、フォローできない!) 恐る恐るオバさんの顔色を伺ったら、 「この子たち、スゴイ! 素晴らしい」と目を丸くしている。
 そうだった、彼女は馬主で乗馬が趣味だったんです。