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かもめニュース

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2012年度〜2016年度

2012年度 Vol20

自らは悪戦苦闘しながら 仲間の成功を喜ぶ心が育っていた…

– 縄編みに挑んだ年長の 頑張って、そして、弾ける喜び –

ついに全員が完成


(彩世)みんなが編めたら、跳んでみる。
体を前傾させず、垂直の姿勢で跳ぶのは難しい。

みんなが見守るなか、雄斗が縄を編み上げました。
 「おめでとう」「頑張ったね」「良かったね」と、みんなが口々に言葉をかけながら雄斗に駆け寄る。雄斗を抱きしめもみくちゃにする子どもたち。雄斗は編み上げた安心感と嬉しさを顔いっぱいにあらわしていました。
 24日、雄斗を除く子どもたちは縄を完成させていました。しかし、この日も雄斗にはあまり進展がありませんでした。
 雄斗は編み方は早く覚えたのですが、編込んだ後の布の始末を覚えられず、残りの布も三つ編みになってしまうのです。同時に2つのことを覚えるのが難しく、途方に暮れているので何回か教えました。ただ、自分からすすんで聞きにくるということを約束しているのですがそれが出来ません。
 依存心から大人の助けを待っているのか…、私たちも判断を迫られました。何はともあれ、これまで、数々の難題を乗り越えてきた雄斗を信じよう。

 25日、くじら組み全員に「雄斗にどうして欲しい?」と聞くと、「編めるように応援する」という意味合いのことを言う子が多いなか、亮佑が「雄斗に頑張って編んでもらいたい。そうでないと、みんなが縄跳びが出来ないんだから」と。午後から、両手の布裁きの手つきが変わり、スピードアップしました。「もう少しだ」というところまで到達して、この日は終わりました。
 日曜日を挟んで、27日。午前中はみんなで星置川へ出かけ、川遊び。雄斗は午後から縄編みを再開。時々、他の子が様子を窺いに来ては戻っていきます。

 そして、ついに完成!!みんなの手荒い祝福を受けて、雄斗の笑顔がはじけました。
 今までも、子どもの可能性は無限、どの子も出来るんだと思って保育してきましたが、今回の縄編みは、今一度その確信を深めさせてくれました。
 どの子も可能性を秘めている-雄斗とみんなから学んだことでした。

縄編みを見守って-親たちの思い

子とともに親も成長したい  曽田母

 縄編みって難しいのに、子どもは楽しみにしてる。すごいなぁ~。「洸希が縄編みするって、だいじょうぶかな?何日かかっても何日かかっても投げださなきゃいいや」って見守ることができた!!
 縄編み1日目、迎えに行くと浮かない顔…。言いたくなさそう。
 2日目の朝、「年長さんはやらなきゃいけない。がんばる」って言って車をおりた。私が仕事の会議で4時に迎えに行くと、洸希は怒った顔…。
 3日目の朝、「おかあさん、年長はやることがある!!早く迎えに来るのはダメだよ!!」って言われた。「縄編み、今日でわかったよ!半分出来たよ!」って帰ってきた。私はすなおに「よかったね」って言えた。
 そして、4日目の朝、「もう編み方わかったから、今日出来る!」って車からおりて走って海かもめへ…。迎えに行ったら本当に出来てた。すごい!! 帰って来たら、響とお父さんにうれしそうに報告。とってもうれしそう。
 響の時は、みんなが出来てあたりまえってどこかに思ってて、すなおじゃない響と私との闘いみたいな。きっと、よろこんでくれないお母さんで、つらかっただろうなーって今洸希をみて思います。
 響は、洸希にいつもこう言います。「年長がやることってすごくむずかしいけど、ぜったい出来るからね。」私も響が年長の時に、こんな風にやさしく言えてたら…と思います。私には、響という子どもがいてこそ、今の洸希を大事にうけとめれるのかと…すなおにかわいいとか、よかたね!って気持ちになれる。
 だからか、洸希も何でも話してくれるから、もっとかわいいと思えるのかなぁー。だんだんと泣かずにがんばれる洸希を家族で応援したいです。(こわいお母さんも卒業したいね。)

我が子が淡々として  河崎母

 帰ってきて、「今日、縄編みちょっとすすみましたー。」と報告あり、「1回わかったら簡単だわ。そしたらもう楽しいだけ。」とのことです。
  「でこちゃん、でこちゃん、仲間はずれ」や、布の咲き方などを説明してくれました。まだ出来ていないことは特に気にしていないようです。
  「早くできることがイイことじゃない。どれだけ集中するかが大事なの。」と、どこかで聞いてきたようなセリフを言っています。
  すごいなーと思うのは、出来た人のことを「今日、ともたが、さよが、あおじが…」など、どうやって頑張っていたか説明してくれ、できた仲間がいかにすごいか認めて教えてくれることです。2日目にかけてくれた高川のおまじないが効いたみたい。

悟っちゃってる息子を信じてみよう  山田母

 縄編み初日は、雄斗から話題に出すことがありませんでした。
内心、雄斗には難しすぎるのではないかと思っていましたが、雄斗が「早くできなくてもいいのさ。時間がかかっても、最後まで頑張ったら出来るんだよ」と話しているのを聞き、親もその言葉を信じて待ちたいと思っています。(編み始め2日目に)

苦労と達成感を味わって欲しい  佐々木母

 縄編み初日、お迎えに行ったらその日に完成とのこと。私の予想としては年長の取り組む課題の中でも一番難しいということも聞いていたので、編み方がわからない→少し涙ぐむ場面あり→ようやく完成! というものでした。

 それが一日でできたとは…うれしさ反面、拍子抜けのかんもあり。「縄編み」もそうですが、前回の「天の川」づくりも智太がおしゃべりをせず集中して取り組めたところが大きな成長だと思います。

 参観の時に、話をしっかり聞けていないなぁ…と思っていましたが、(まだまだそのようなこともあるのだと思いますが)少しずつ前進しているのかなと感じています。

 卒園までにまだいろいろ課題もあると思いますが、たくさん苦労して、出来た達成感を味わって欲しいと思います。「かもめニュース」を見て、夫は智太に「おしゃべり智太がおしゃべりせずにやったんだね」と褒めて(?)いました。今後ともよろしくお願いいたします。

子どもにならって人と一緒に楽しめる心を  和賀母

 高川に縄編みについての心構えを聞いてから、本人が言うまで何も聞かんとこうと決めていましたが、初日にはもうアオジから「今年の年長はもう縄編みはじめたんだ、すげーだろう」と言われたので、やる前からびびっている感じはないのだなと安心しました。
 2日目、帰ってきてから「何となくわかってきたんだ!!」と嬉しそうでした。
 3日目のお迎えの時に、小菅さんから「アオジできたんだね。オメデトウ」と言われ、「え~!!!もうできちゃったの!?もっと時間をかけて自分のものにしなくて良かったの~!?」と心の底からビックリし、感動しました。

 出来上がった縄を見て、また深~く感動しました。でも、感動したのは息子の頑張りだけではありませんでした。海かもめに入った瞬間、ゆちろうと壮ちゃんが「アオジ、できたんだよ~」と教えてくれたことに本当に感動しました。人と自分を比べて卑屈になったりしないことに、実は前々から感動していたんですが、改めて涙させられました。縄編みは子どもたちの美しい心を垣間見せてくれる素晴らしい年長の課題ですね!!
 きっと、毎年素晴らしいドラマがあるんでしょうね。今朝、河崎母に、昨晩壮ちゃんが帰って来た河崎父に真っ先に「今日、碧爾が縄編み完成しました!!」と言って拍手して報告したという話を聞きました。

 目に見える素晴らしい運動能力や課題の出来映えもさることながら、やっぱり何と言ってもこの子どもたちの美しい心を育てる保育、それがかもめにあるんだということ。これをTVでも伝えられたら素晴らしいのに…と思います。

 朝から、河崎母とウルウルし、私自身も人と比較し悩むようなアホらしいことはもうやめようと心底から思いました。そうそう、レイチェル・カーソンの『センスオブワンダー』を最近になって読み返しました。昔はあまり心に響かなかったのに、今回読んでみたら、共感出来る部分がたくさんあって、その自分の変化に驚きました。正直、昔は土・日に子どもたちと何をして過ごそうかと考えるのが苦痛でした。(いつも、土・日はなにしてますか~?って質問してましたもん。)(笑)
 でも、今は全くの逆で、土・日が楽しみで楽しみで、土・日を生きがいにして平日を過ごしています。

 子どもたちと一緒に自然の中で様々なものを発見し、その喜びを分かち合う時間が私にとって何よりの楽しみです。一緒に楽しんでくれるかもめの仲間家族も増えました。かもめのお母さんたちは皆一様にセンスオブワンダーが発露している方ばかりです!!子どもと一緒に何かを楽しめる心を取り戻せたこと、これは私にとって本当に大きな財産だと感じています。それも本当にかもめ保育園のおかげ。

 いつも旦那と「ウチの子どもたちもかもめの子どもたちも本当に可愛くて最高だね~、幸せだね~」と幸せだ幸せだを連発しています。(笑)かもめに入ってから、幸せを感じる天才になったと自負している和賀母でした。

(写真 提供/石田一郎(HBC「ケッパレごはん」ディレクター 記・編集:高川)