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かもめニュース

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2012年度〜2016年度

2013年度 Vol32

引きこまれた 魅せられた 太鼓の響き
銭函創作太鼓童夢 ミニコンサート

 「銭函創作太鼓童夢」は地元の太鼓演奏集団だから、ホールの落成式、運動会、ちょうちん祭り、そして、かもめ祭りと、色々な機会にその太鼓の音に親しんできた。1月16日、かもめホールで行われたコンサートにも子どもたちと親、おじいちゃん・おばあちゃん、地元のファンなど大勢が詰めかけた 。演目は「風の彩り」「美(ちゆ)ら海」「翔」「千里」など。出演者の中にかもめOGが4人もいることが感動を増幅する。そして、「童夢」を創立しここまでその灯を消さずに育ててきたSさん夫妻は、一方でかもめの草創期から一貫してかもめ保育園に貢献された「功労者」でもあることを思えば、太鼓の響きが一層グングンと迫ってきて感無量だ。
 聴衆者からも、「童夢、スゴイ腕上げたなぁ~」「全員の真剣さに圧倒された」と、賛嘆の声が聞かれた。
 確かに、これまで聴いた童夢とひと味違っていた。それは、コンサートの日まで続けられた、かもめOGであるS.Tさんの指導によるものなのだろう。Sさんは沖縄で活動するプロの演奏者でもあり、今回、創作曲を携えて自らの故郷・銭函で頑張る「童夢」の指導にやってきたのだった。
 それにしても、「ど~ん、ど~ん」とか「どん、どん」としか書きようのない和太鼓の音がどうして複雑な、それでいて切れの良い音色となって聴くものに心地よく響くのだろう。魅せられるのは、音ばかりではない。バチを構えるフォーム、スッと振り上げ、振り下ろす腕の美しさ、目線の配りなど、視覚にも訴えてくる。本当に、和太鼓は不思議な楽器だ。

 かもめの子どもたちは、いつもの演奏会でそうするように前列で間近に演奏に聴き入っていた。童夢の演奏はあさり組(2歳児)やしじみ組(1歳児)の子どもたちにも感銘を与えたようで、コンサートの翌日、かもめ灯台(渡り廊下)に置いてあるログ・ドラムを楽しそうに叩いていた。

「踊りたくなっちゃった!」- 年長児の感想 -


斉藤隆介・作/滝平二郎・絵『ふき』(岩崎書店)

「太鼓を聞いていたら、草原の風に吹かれているようで、眠くなって、ちょっと眠ちゃった」
「童夢の人になって、太鼓叩きたい」
「太鼓を聴いていると踊りたくなった。でも、迷惑だと思って我慢した」
「太鼓を叩いているときも、踊っているときも笑っているの、どうしてかな」
「太鼓を聴いていたら、太ももがくすぐったくなってきた。足を(組み)替えて聴いた。だんだん面白くなってきた」
「太鼓がドド~ンと鳴ったとき、『ふき』(民話)の青鬼が出てくるのかと思った」
「楽しくなって口笛を吹いちゃった」
「太鼓の夢を見た」
「青田さん(ちいさなえほんや ひだまり)が読んでくれた黄金の竜(?)が出てくる! と思った」

子どもたちのパワーに圧倒されて-実習生が見て感じた かもめ保育-

 昨年2月(山小屋)と8月(海かもめ)に、卒論のテーマにかもめ保育を選んだ国立音楽大学幼児音楽科の学生・Oさんが、実習に来ていました。Oさんから保育士一人一人に礼状が寄せられました。

 以下に、その一部を紹介します。

 (前略)かもめ保育園での毎日は勉強になることばかりで、銭函の風景、子どもたちの姿、自分が体験したこと全てが私にはとても新鮮でした。海かもめに行くまでの道のりを元気に走って行った子どもたちの後ろ姿、海辺で元気よく走ったり、何か面白いものを見つけて友達と遊ぶ姿に「かもめらしいな」と感じました。子どもたち一人一人がとても生き生きしていて、身体中から出てくる目に見えないパワーに大人である私が圧倒されてしまいました。

 今回、かもめ保育園の子どもには甘ったるい保育は通用しないのだ、と改めて気づきました。私が言う甘ったるい保育とは、子供一人一人と向き合わず、子どもの情緒をただ和らげようとしたり、感情を怒りの方に持って行かないように行かないようにと気をつける保育です。上手く言葉にできないのが悔しいのですが、一言で言えば当たり障りのない保育です。

 私は、これまで幼稚園での一ヶ月間の実習で子どもたちと向き合うときもあれば、疲れて当たり障りのない保育をやってしまった時もありました。今回の4日間でも当たり障りのない保育をしてしまった時があったと感じます。その時、かもめ保育園の子どもたちは、その当たり障りのない保育をパッと私に投げ返してよこした気がしました。自分の未熟さ、甘さ、弱さが見え、自分はもっと強く、真っ直ぐでいなくちゃいけないと感じさせられました。高川先生やかもめの先生方はいつでも真っ直ぐ正面から子どもと向き合っているからこそ、子どもの前で堂々といられるのだと分かりました。

私にはいろいろと気を遣ってくださったり、優しい言葉を掛けてくださったり、いつも心が温かくなりました。(後略)

卒園児は今

「弱い人を守るんだ」 -Kくん-

 同じクラスの女の子が、6年生に「色紙を食べてみれ」と嫌がらせを受けているのを見たKは「俺が代わりに食べてやる」と言い、その折り紙を食べる真似をして、始末したそうです。
 その夜、女の子のお母さんからお礼の電話があり、初めてK君のお母さんの知るところとなりました。K君は「可愛そうだったから助けてやったんだ。オレは弱い人を守るために空手を習っているんだ」と言ったそうです。

遊びとリズムでつくった体 -I兄弟、Kくん-

 かもめOBのI兄弟が空手の全国大会に出場します。「しっかりした体だから、全道大会を勝ち抜いたんだ」と指導の先生に言われたとか。
 そして、もう一人の全国大会出場者はやはりOBのKくんで、こちらは剣道です。
 思い切り遊び、リズムをやってできた強くしなやかな体…。良かったね。

かもめにもらった感受性  -Yさん-

 夏は海、冬は山で過ごした生活が忘れられません。かもめできたえた足はとても元気です。私は誰にも負けない感受性を持っています。これも、かもめがくれた 私の大きな武器になっています。(Yさんの年賀状から)