かもめの共同保育について
「共同保育」について、ウィキペディアには、次のようにあります。
「共同保育所(きょうどうほいくしょ)、ないし、共同保育園(きょうどうほいくえん)は、日本において、乳幼児の保育にあたる保護者などが共同して運営にあたる保育施設。法令上の用語ではなく、本来は一般家庭の一部を使用するような認可外保育施設のひとつの形態を指す表現であったが、そうした施設から発展してきた経緯のある認可保育所の中には、名称の一部に「共同保育所」や「共同保育園」を含む例もある。
運営にあたる組織の形態には、任意団体や、社会福祉法人のほか、特定非営利活動法人などがある。共同保育所では、保育者と保護者が定期的に協議をする中で運営に関する事柄が決められていくことが多いため、他の保育施設に比べて保護者の関与の度合いが大きい。本来の意味の共同保育所は、他の保育施設よりも比較的小規模であり、また、異年齢の子どもたちを一緒に遊ばせることが多い。」
「共同保育」というと「認可外」あるいは「小規模」というイメージがあります。
しかし、規模の大小にかかわらず、また認可・認可外に関わらず、保育園において子どもたちの健全育成のために、保育の「共同性」は必要不可欠なものだと思います。
残念ながら、現在、保育の権利意識の拡大=保育の行政サービス化とともに多くの保育現場では存在しなくなっています。
かもめ保育園は、保護者と職員とOBなどの関係者が共同して運営する共同保育園です。
それは、2015年10月に小規模保育事業として一部認可された後も変わっていませんし、2017年4月に保育所型認定こども園として全体が認可された後も変えるべきではないと思っています。
かもめ保育園が認可を受けた「保育所型認定こども園」には、園舎設備、職員、保育時間、保育内容などの基準が規定されています。認可園として行政からの補助を受けるのですから、これらの基準を守ることは当然ですし、かもめ保育園としても順守していきます。ただ、基準さえ満たしていれば、それでいいというものではありません。
「親が仕事をしている間、とにかく、遊ばせて、食べさせて、寝かせて、おむつ替えして、安全で衛生的にあずかってくれれば、それでいい。」という考えの保護者もいると思います。
国の認可基準はそれを最低限保証するものです。(昨今都市圏では、保育所不足でそれすらも保障されていないわけですから・・・。)
ただ、多くの方々が、それだけでは不足に思い、子育てにさらに前向きなものを求めるからこそ、かもめ保育園に集まってくださっているはずです。
・夏の海あそびや冬の山あそびを含め四季を通じた野外での保育活動
・乳児期からの食育を意識した給食
・子どもたちの発達段階を丁寧に見て効果的に育ちを促すリズム運動
・四季を感じ良質の文化に触れる行事の数々・・・
知ったきっかけや入園の動機に若干の違いはあっても、多くの方々がこれらのことに魅力を感じ好感を持ってかもめ保育園を選んでくれているのだと思います。
しかし、これらのものは、いずれも認可基準として保障される水準をはるかに超えて実施されている保育の付加価値とも言えるものです。その多くは、これまでの認可外の時代に、保護者と職員が「子どもたちのために」と知恵を出し合い時間と労力をかけて築き上げてきたものです。保育の制度・サービスの枠の中で、当たり前に提供されるものではありません。
これらを継続しつつ保育園を永続的に運営していくためには、今後も様々な場面での保護者の主体的なかかわりを求めざるを得ません。
かもめ保育園の運営主体は、NPO法人です。子どもたちの健全育成を目的とした市民活動団体です。
法人として園舎を設け職員を配置し認可事業を行いますが、その運営の中心にいてほしいのは子育てのいちばんの当事者である保護者です。
保護者の一人ひとりがNPO法人の正会員であり、保育園の共同運営者です。職員や地域関係者と共により良い保育のあり方を考え協力し合うと共に、保育園の運営状況についても承知し、保育園の維持発展についても当事者として関わっています。
子育ては本来、みんなで力を合わせて行うものです。
「我が子を、心も体も健全に育てたい」と願っても、自分だけではなかなか難しくて、同じ気持ちを持つ親が共同して保育の場所を設けることでやっと実現できるものだと思います。誤解を恐れず言えば、認可事業による行政の制度やサービスは、その運営を保障するための手段に過ぎないと思っています。