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かもめニュース

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2007年度〜2011年度

2008年度 vol28

《高川保育日誌》

日常生活のあり方を見直す機会に - 縄編みを終えて -

年長懇談会(9月6日)
 8月30日に始まった縄編みは、9月5日に全員が編み上げ、6日は「初跳び」で喜びを爆発させました。その午後に行われた懇談会で色々なお話がでました。その幾つかを紹介します。

藤原保育士のお話し

 他園でも縄編みをやりましたが、事前に短い布で三つ編みを覚えさせてから編み始めました。編むときは布を持たせて、「右手の布を左に持って行く、次は左手の布を…」と言い続けました。それでも理解できないと、手をもって教え、編み上げました。
 今回は、大人が編むのを見せて編ませる。理解できるまで大人が編んでみせる。なかなか編もうとしない子も、意欲が出るまで待ち続ける。そこが違いました。
 本当に運動会まで編むことが出来るのかと、心の隅で気になりましたが、早い遅いの差はあるけれど、やる気さえ出てくると、みんな編めるんだ、ということを実感しました。
 同じ縄編みですが、子どもに与えたものは以前と大違いだと思います。人の話をしっかり聞く、考える、挑戦する力、達成感などです。
 特に、真剣に取り組む倫太郎の姿から、意欲の大切さ、しっかりした生活の大切さなどを学ばされました。

明お母さんのお話

 倫太郎は、出産時にへその緒が巻き付いて呼吸が何回も止まるアクシデントがありました。
 目が合わない、平坦なところで転ぶなど心配なことがいっぱいありましが、次第にたくましさが増し、かめ組のころには、”ついていけるかな” と希望と安心が生まれました。
 それでも、年長になると他の子がグングン伸びて差が出てくるのを感じていたので、縄編みは相当苦労するだろうと思っていました。ところが、2日目に迎えに行くと、「編めたよ」と縄を見せられ、驚くと同時に嬉しさがこみあげてきました。その晩は、赤飯を炊いてお祝いをしました。

 家族みんなが倫太郎と喜びを分かち合う、笑顔が溢れる「お祝い会」が目に浮かぶようです。
 明お母さんは日ごろから、参考になる本やビデオを借り出して学習したり、「なんでも言って欲しい」と人の話に耳を傾けるなど、とても前向きな姿勢です。そこからは、出産時のダメージを何としても克服するのだという、日常生活での必死の模索が伺えます。
 倫太郎が縄編みに真剣に取り組み、編み上げた縄を掲げて「編めたよ!」と誇らしげに言えるようになったのも、体と心を育むこのような生活があったればこそと思います。
 前号に縄編みの工程と子どもたちの取り組みの様子を詳しく書きましたが、そこで要求されるものは意欲、集中力、想像力であり、意のままに動く手指の力です。子どもがこのような力を獲得できるかどうかは、日常生活のあり方に大きく関わります。どの年齢の子の場合でも、今一度、生活を振り返ってみる機会にして欲しいものです。

・甘やかしはないか。(甘やかしは子どもの人間形成を損ねます)
・命令や指示を多発して意欲を摘んでいないか。
・その年齢の子に出来ることをさせているか。(食事後の食器片付けは、しじみ組でもしています)

跳び縄完成お祝い会 2度も

 それぞれの家で「お祝い会」が行われたようですが、園でも「お祝い会」が2度も行われ、子どもたちはその度に「編めたー、良かったー!」と喜びを実感したようです。

パート1(9月9日)

 年長が浜でかまどを作り、イモやニンジンをきざみ、ホッキ・カレーを作りました。漁師の渡邊さんがたくさんおまけしてくれたのでホッキがいっぱい。園児みんなに食べてもらいました。しじみ組にはカレーを抜いたホッキ汁が。

パート2(9月13日)

 明さんが、赤飯とお父さんが釣ってきたブリをくださるというので、またまた「祝い膳」。今泉さんが大きなハムの入ったマリネを、藤原がキュウリの漬け物を添えてくれました。それに、年長が作ったトウモロコシが加わり盛り沢山。
 大きなブリが目の前で料理されます。
「父さん、寝ないで釣ってきたんだよ」
「ヘー、寝ないでか~!」
「ウーン、うめぇ~」
「口の中でとろけそうだ」
「ナマで食いたい!」
とても賑やかでした。

(髙川 記)