2008年度 vol40
(この「かもめニュース」は、高川オジさんが保育士のお話も聞いて書きました)
ワオーの森に、「くじらの小径」できた!
藤原が「ワオーの森に、今年もくじらの思い出を残してやりたいので協力お願いします。」と言う。一昨年は「くじら小屋」、昨年は「くじら基地」。毎年建物を造るわけにも行かないし、考えあぐねた末に「くじらの小径」をつくることにした。新しく遊歩道を開削して両側にサクラなどの木を植える、将来の桜並木。そこへいつでも帰っておいでね、というわけ。そう決まったのは10月も末のこと。11月1日からの3連休で準備して、4日に植えさせるという短期決戦になった。
11月1日(土)
急な呼びかけに応じて、東海林父と今泉母がきてくれた。男と見込まれた樋詰が藤原と保育を代わってやってきた。
先ずは、ルートの決定から始める。なるべく傾斜が緩くなるように考え目印の赤テープを笹や木に結んでコースを決めていく。大体のコースが決まったら、役割分担で作業を進める。樋詰は生い茂る笹を草刈り機で刈る。最初は下手くそで虎刈り状態だったがすぐに上達して綺麗な刈り跡になった。東海林父はコース沿いに苗木の植え穴を掘るが、石だらけの急斜面で、笹や木の根がびっしり張っているので悪戦苦闘する。高川オジさんは斜面を削って歩道をつくる。
今泉母が苗を掘り取り、円花(06年卒園)と穴まで運ぶ。園児の名札も書いてくれた。
どの作業もなかなかハードだが、男3人は昼食後も頑張って作業を続ける。
子どもたち10人分の植え穴が掘れたところでこの日の作業を終了。
面白くなさそうに穴掘りをしていた東海林父が「面白かった~!」と言う。(よかった!)
3人でかもめのこと、子どもたちのことを語り合った。
樋詰とは「それにしても、毎年、切羽詰まってから、おんなじ時期におんなじことやってるね」と苦笑い。そう、いつも雪が降る直前だ。
石田が差し入れにきてくれた。
11月2日(日)
高川オジさんが一人で歩道の整備。
藤原と石田が差し入れを持って激励に。樋詰も顔を見せ、「歩きやすくなりましたね」と言ってくれる。
11月3日(祝)
番場父と石田父が出動してきた。歩道を広げ、傾斜が急なところに階段をつける。番場父の仕事ぶりに、”さすが職人!” と見惚れる。
昼頃までかかって、ヨーシ、これなら子どもたちも滑らずに歩けるぞ、というところまで整備を進め、作業を切り上げる。
歩道の下の方で藤原が黙々と階段をつくっていた。これが見事な出来栄え! 職人がもう一人いたんだ。
小屋に戻って、サァ、昼食、というときに、「朝から…」と予報されていた雨がいきなり降ってきた。ついていたな~。
藤原と石田の、またまたまたの差し入れを美味しくいただく。
雨が小降りになった夕方、高川オジさんが歩道を延長して尾根径につなぐ。
11月11日(火)
当初、植樹を予定していた4日が降雪に見舞われたので、この日になった。良い天気だ。
小径の入り口には、谷が描いてくれたくじらのイラストが。これを見た子どもたちが、「ウワーッ、くじらだー!」と大喜び。
植えるのは、エゾヤマザクラとズミの2種類。ズミは白い小さな花をいっぱいにつけるが、サクラの半分くらいの樹高にしか生長しない。それでも、山で掘り取った小さく弱々しそうなサクラに比べ、ズミは買ってきた苗木だけあって大きくて立派そう。貧相なサクラをあてがわれた子が不満や悲しみを覚えないようにクジ引きで決めることにした。子どもたちは、割り箸のくじびきを面白がり、引きあてた番号を振りかざして、喜んで順番を待つ。3~4人のグループ作業だったが、絢葉がみんなに呼びかけたり指示したり、リーダーシップを発揮していた。
下から賑やかな声とともに、かめ、かに、あさり組みがやってきて上へ向かっていった。「くじらの小径」の通り初め。
植樹は、それぞれ苗木を植え穴に入れ、東海林父が取り置いてくれた土をかぶせるのだが、扱い慣れないスコップ、きつい斜面、泥にまみれたり、スリップしたり、仲間同士ぶつかり合ったり、なかなか難儀であるが、根元をトントンと踏んでおしまいである。そうそう、自分の名札を立てることも忘れない。
みんなが小学生になり中学生になるころには、花がいっぱい咲くかな。
植樹を終わって子どもたちが帰り支度をしているとき、藤原が「今日のお昼ご飯は、高川オジさんの小屋で食べます」と突然のアナウンス。子どもたちは嬉しいサプライズに「ヤッター! 」と大喜び。狭い小屋に入って狭い階段を上ったり下りたり、ロフトから外を眺めたり、大はしゃぎした。頃合いよく、鍵谷母が運んできてくれた給食を「いただきま~す」。
食事を終わってそろそろ昼寝というところで、「高川オジさんが絵本を読んでくれま~す」とサプライズ第2弾。でも、何だか余りうれしそうでないなぁ~。(-_-)
オジさんは気を取り直して『たぬきむかし』を読む。さすがにくじら組だけあって最後まで静かに聞いていたが、オジさんとしては、うまくいったのかな、わかってくれたのかな、と不安である。藤原に「テレビの『まんが日本昔ばなし』みたいな味があって、素晴らしかった!」と褒められて、いきなり木に登りそう。(^_^)v
みんな、薪ストーブで暖まった2階のロフトでお昼寝。すし詰め状態だけど、それもまた嬉しいようで、すぐ眠りに入った。
谷と樋詰が様子を見にやってきた。保育士3人が子どもたちのことを語り合って、「移動職員会議」の趣きだ。寝息が聞こえてくる2階を気にして声は低いが、子どもたちへの思いを語るそのトーンは高い。
子どもたちが目覚めたところで、サプライズ第3弾。おやつは小島がつくってくれた「桜餅で~す」。ヤマザクラを植えた記念の一品。桜餅を切っ掛けにサクラの植樹を話題に家庭でも語らいを、という思いから一個はお持ち帰り。
桜餅を食べ終わるころには気温も下がってきたが、元気に園へ帰って行った。
いつもの静けさに戻ったワオーの森。苗木たちは雪の下で春の芽吹きの準備に入る。
くじら組のみんなにも、間もなく巣立ちの春がくる。