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かもめニュース

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2007年度〜2011年度

2009年度 vol36-1

(高川の保育日誌から) 

年長のちょうちん作り 描く喜びと苦労 歌にして

- ♪ 描くのも塗るのも遅い~、だけど… -

 くじら組がちょうちんを作りました。一心にちょうちんを作る姿、お父さん・お母さんに披露するときの誇らしげな姿、創意と愛情に満ちた「おめでとう・ごくろうさんパーティー」で喜びと驚きにはじける姿、そんな姿に、また成長の階段を一段上った…と感じさせられました。

 ちょうちん作りには、初めての難題が沢山あります。まず、細書きサインペンを使うのが初めて。それをもって2.5cm幅のスペースに小さな絵を描きます。シェードに描く絵の数は多い子だと130個を超えます。その全てに絵の具を塗る、それも初めての経験。
 想像力や描く力はもちろんですが、かなりの集中力が要ります。ほとんどの子は、毎日、1時間半も描き続けました。頼もしい姿を見て、嬉しくなりました。
 スラスラ描いている子や考え考え描いている子など、一人ひとり違う姿を見ながら子どもたちの心中を想像していました。
 ところが、後で子どもたちに感想を聞いてみると、想像していたこととは違う予期しない答えが次々に返ってきて、思わず吹き出したり、胸が熱くなったりしました。子どもたちのそんな思いが「ちょうちん作りと僕らのうた」と題する歌になりました。一人ひとりが自分の気持ちを自分の言葉で素直に表現したのです。
 誰よりも、作った本人が自分自身の歌に惚れ込み、ちょうちん祭りの当日は、大きな声で歌い上げました。


力作揃い みんな素敵

頑張ったご褒美に「ひょっとこ踊り
ちょうちん作りと僕らのうた  原曲:峯 陽

1芽生 2優佑 3駿佑 4陽太 5響 6純花 7皓弥 8風花 9結晶 10全員で

1 絵を 描いたら 早く塗りたい 塗ったら むずかしい やっぱり絵が描きたい
  どっちに しても むずかしいけど 早く 作り たかったんだよ
  絵の具を塗るのは はみだしそうで ドキドキしたけど はみださなかったよ

2 僕は 絵描きだ 描くのが得意 虫に 動物 蝶に地球
  同じ 物を 描きたくなくて 困った けれど 全部描けたよ
  はみ出さないで 塗ろうとするけど うまくいかない あわてちゃだめだ

3 どんな 色に 光るのかな かんが えたよ ちょうちんの色
  僕の 色は 赤がいいな 光って いるよ うれしいよ
  数えきれない ちょうちんの絵 同じものは ひとつもないよ

4 むらさきか 白に しようと思ったけど 青が いちばん よかったんだよ
  車の 中で 浮かんできた絵 描こうと 思ったら わすれちゃったよ
  描くのも塗るのも 遅いんだけど がんばったから 出来上がったよ

5 畑の 大豆 心配してたよ 風が 吹いて 倒れないかと 
  結晶に 追われた 運動会 踏ん張って 走ったから 負けなかったよ
  蝶を描いたら うまくいったちょうちん でも塗るのは大変 一回飽きた

6 話し かけないで 描きたいんだから うるさい ちょっと 黙っていてよ
  見てる だけじゃ 楽しくないけど 自分で 作るのは とても楽しい
  絵の具塗るのは 思っているより 楽しかったよ きれいにできたよ

7 絵を 描いても 進まない 早く 絵の具で 描きたいな
  ああそうだ! 樋詰が 描いてくれないかな 疲れた! まりでも しようかな
  どんぐり笛も 音が出ないし 困っちゃったよ 間に合うかな

8 いやだ いやだ ちょうちん作り いやだ いやだ 頭ごちゃごちゃ
  みんなの 絵の具の においがすると 頭が 痛く なったんだよ
  絵の具塗ったら はみだしたけど はみ出さなくなって うれしかったよ

9 ピンク ピンク ピンクが好き なんでも ピンクに したかったんだ
  人魚 姫の お城の先を 塗るのは とても むずかしかった
  ちょうちん祭り リズムの時は 側転の足 ピッとなるんだ

10 つなげ つなげ 垣を乗り越え つなげ つなげ 固い握手で
  つなげ つなげ 勇気を出して つなげ つなげ 生きる喜び
  地球で生まれ 地球で暮らす 僕らはいつも 仲間たちさ

 お母さんたちが子ども一人ひとりに、夕食会・「おめでとう・ごくろうさんパーティー」の「お品書き」を用意してくれました。
「ここに、みんなの歌が書いてあるんだよ」と示すと、歌詞カードを読むようなポーズで一斉に歌い出しました。歌って、歌って、声がかすれるほどでした。
 陽太は家の九官鳥に、自分の歌を覚えさせたそうです。ただし、♪ 描くのも塗るのも遅い~というくだりは教えなかったとか。
 大好きなピンクを塗りまくった結晶(ゆき)は、あんまり ♪ピンクが好きだ~、ピンクが好きだ~と歌いすぎて、「ピンク」に飽きてしまったのか今は、♪大輝が好きだ~、大輝が好きだ~にリメイクしています(大輝はお兄ちゃんの名前)
 ちょうちん祭りの翌日、しじみ・あさり組が皓弥の歌を歌っているのを耳にしました。
 ”きのう一度だけ聴いた歌をもう覚えてしまってる”と驚きました。皓弥の歌は、大人ばかりか子どもにも感銘を与えたようです。

お品書き - 一人一人に手書きで。左がメニュー、 右の下半分にそれぞれの自作の歌。
裏面にはさる かに合戦のイラストが描かれ、子どもたちには宝物になりそう。

フィナーレは夕食会

 民話「さるかに合戦」をテーマにした夕食会のメニューの素晴らしいこと! 感動の渦が巻き起こりました。どこから、こんな豊かな発想が湧き出るのでしょう? お父さん・お母さんの思いがテーブルから溢れるばかり…。そんな思いに包まれて子どもたちは、もう嬉しくてたまりません。居合わせた保育士たちも「スゴイ! スゴイ! 」の連発でした。

夕食会のメニューを詳しく紹介しておきます。「さるかに合戦」の役柄と( )内料理名です。
☆ カニ(タラバガニ、毛ガニ)☆ 柿(柿をくり抜いてカキナマスが入る)☆ 栗(栗きんとん)
☆ はぜ棒(ゴボウの煮付け)☆ 臼(くり抜いた大根にエビのすり身が入る)☆ 牛の糞(シュークリームとチョコレート)そして、主食のご飯は「カニめし」です。


柿(柿をくり抜いてカキナマスが入る)

臼(くり抜いた大根にエビのすり身が入る)

主食のご飯は「カニめし」

栗(栗きんとん)

かもめ ミュージカル劇場に

「ぼくらのちょうちんづくり」は進化を遂げました。思ったこと、伝えたいことをそのメロディーに乗せて相手の顔を見て歌う。まるで、オペラか、ミュージカルです。

泣けて、泣けて… -ちょうちん祭りの感想-

お母さんたち

・(子どもたちの歌に)涙をこらえきれませんでした。
・泣けて泣けて、涙で見えなくなったときも…。
・ちょうちんを掲げて歩く姿が凛々しくて、感動した。よく、あんなに長い歌が歌えるね。
・歌詞を聴いて、”色んなことを考えているんだな”と感じさせられました。
・ちょうちんがきれいにできていたね~。

卒園児


小さなドングリから、大きな音が

・ドングリ笛、みんな吹いていた。オレは吹けなかったんだ。(ゆうた 2年生)
・今年の年長のちょうちんはスゴイ! 色がはみだしていない。(ゆうひ 1年生)

その他

・人数が20人もいたような感じだった。ちょうちんに、よくもこんなに沢山と思うくらい色んな絵が描いてあるし、塗り方が上手。サインペンの線も初めてにしては震えが全然ない。この時期によく独りで歌えるね。創意工夫が凝らされていて、面白い内容だった。(花田さん 元埼玉さくら保育園)

・歌詞カードを見て吹き出しました。おかしくて可愛くて、なんて素晴らしい子どもたちなんだろうと思った。7・8番は特に気に入りました。子どもたちは安心しきっているから、あんな歌が生まれるんだね。

・親たちが保育に深く関わっていることが実感できる。そんなお父さん・お母さんだからこそ、子どもたちが育っていくんだと思う。

・OBたちが今も力を貸してくれるってのは、かもめならでは。大事にしてね。(森さん 元北の星白石保育園園長)