2004年度 Vol32
スキップ できちゃった!
その日は、楽しみにしていた餅つきがありました。
みんなで餅をついたり、餡(あん)を丸めて「あんこ餅」を作ったり。大人も子どもも腕まくりをして、片栗粉に白くまみれた手でかいがいしく働いていました。出来上がった餅を頬張ったまま走りまわる子もいて、少しお祭りめいた雰囲気でした。
午後からは、みんなが大好きな絵本の読み聞かせがありましたが、始まって間もなく、あちこちで欠伸(あくび)の連発。午前中の大張り切りでチョッと疲れたようです。温(あつし)もまぶたがくっつき、コックリ、コックリ。揺れがだんだん大きくなり、前に座っている滉也の肩に頭が触れるほどです。お話が終わって、みんなの「絵を描く!」と言う声でパッと目を覚ましました。
一斉に絵を描き始める子どもたち。”温は何を描くのかな”と思っていると、「黄金のかもしか」を次々に描いてきます。これにはビックリ。「アッちゃん、聞いていたんだ?!すごいね!!」と言うと、嬉しそうに跳ね回る温です。
気がつくと、昨日までどうしてもできなかったスキップをしている! その様子を見た他の子どもたちも、”アレッ”という表情で、「温、スキップできるんでしょう!」と手を休めて声援をおくります。みんなの周りを何度も何度もスキップし続ける温。
最近の温は、くじら組一番の努力家。みんなに追いつこうというひたむきな気持ちと努力の積み重ねが体を動かすのでしょうか。
「二分の一成人式」
かもめを卒園した今西望が通う小学校の学級参観。望のクラスでは、「十歳を祝おう・二分の一成人式」という発表会がありました。 子どもたちが自分の将来をどう考えているか、それぞれスピーチしました。以下は、望の発表メモです。
◆どんな大人になりたいか
生きていることと命の大切さを考えられる大人になる。 この間、TVを見ていてふと横を見ると、水そうの中で金魚が一ぴき、沈みながら泳いでいた。 その金魚はまだ生きているが、どんな小さな命でも消えてしまうのはかんたんで、とても悲しいことなのだと思った。 自分は、まだおそう式に一度もいったことがないので、そのことを考えられる大人になるのは、なかなかできないことかもしれないが、そのことを考えられる大人になれるよう努力したい。
【今西母さんのお話】
みんながアナウンサーとかピアニストとか優しいお母さんになりたいというなかで望みの発表を聞いたとき、思わず涙が出そうになりました。本人にすれば、夢中になって観ているテレビ番組の影響で思いついたことで、あまり深く考えていなかったかな…、とも思うんですけど。