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かもめニュース

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2007年度〜2011年度

2010年度 vol7

自分の雑巾をつくりたい!

~子どもの要求を大切にする保育~

 年長になって始まる当番活動。くじら組の子どもたちは、卒園児から譲り受けた雑巾を使って、午前、午後とかもめの掃除をしてきました。
ある日、旭が「雑巾に穴が開いたら、雑巾作るんだー」と一言。すると、その周りにいた子が、「雑巾作りたい」健心「今、作りたい」と言い出すと、全員が「作りたい!」と要求を訴えてきました。そして、次の日、子どもたちの要求通りに、雑巾縫いが始まりました。

 まず初めに、高川が子どもたちに裁縫に使う針、針山、糸、糸きりばさみの説明をしました。針の危険性には、子どもたちの表情が変わりました。好きな糸を選び、糸の長さを知らせるのに、大人が手本を見せ、それを見て、子どもたちが模倣しますが、長さが計れない子が何人もいました。何度も何度も大人の説明を聞き、全員理解することができました。
次は、糸通し。目と指先の合致、腰の支えが必要とされます。何時間も時は過ぎ、子どもたちの口から「できない。あーできない・・・」と言葉がもれ始めました。そんな時大人は、「やればできるよ」「今までの年長さんもみんなできたんだよ」と励まします。そのうち「できた―!!」と歓喜の声。ひとりができると次々と糸通しができみんなの顔に笑みがほころんでいました。
次は糸止めをしてやっと縫い始めます。
その中で、華蓮はまったくしゃべらず、もくもくと針を進めています。聞くと、お母さんやお姉ちゃんの針仕事をいつも見ていたとの事。自分も「針を使ってみたいなー」という気持ちが、だんだん強くなっていたのでは。
 一針一針、慎重に縫い始めた子どもたち。ところが、途中かがり縫いになったり、糸がもつれたり、なぜか玉ができてしまったりと・・・・・苦労して苦労して、5日目に全員完成。「駿は1枚で満足だー」と完成の喜びを踊りで表現していました。苦労して縫い上げた分喜びはひとしお。
最後まで投げ出さず、やりぬいた子どもたち。「やればできる」を確信し、一つ大きくなったと思います。賢力「新しい雑巾はきれいだなー」と喜びいっぱい。毎日かもめの掃除に励んでいます。

雑巾をプレゼント
実はこんな話もありました。入園したばかりの壱太。「針がこわい」「雑巾縫いしたくない」と言っていました。縫いたくなるのを待とうと思っていたのですが、壱太がおたふく風邪のため長期休みになってしまいました。そこで、年長の子どもたちと壱太の雑巾についてどうしたらよいか話し合いました。すると、旭から「雑巾作ってプレゼントしてあげたらいい」という案が出ました。それにはみんな賛成。2枚目を縫った華蓮が「華蓮のあげる」と言い、壱太にプレゼントする事になりました。

初めての合宿は水族館へ行ったよ

 4月23,24日と年長組の初合宿がありました。指折り数えて待っていた子どもたち。ドキドキ、ワクワクの子どもたちの様子をお伝えします。

~おたる水族館編~

 銭函駅に集合した子どもたちは、大人の予想外に不安そうな顔をしている子がひとりもいなく、かなりのハイテンション。「おはよー」の声もいつもより高め。楽しみで仕方がない様子。
 さて、みんな電車に乗りこみ、いざ!出発!。小樽駅で彩希と合流し、さらにバスに乗り換え。「ねぇー今日はどこに行くのか知ってる?」と聞いてみると「知らなーい」「山登りじゃない?」「ホテルに行くの?」とさまざまな答えが返ってきました。周りの景色がだんだん変わり、海が見えてくると、「水族館だー」「ヤッター」とバスの中に響き渡る歓声が上がりました。

 水族館へ入ってみると、なんと、かもめの貸切り状態!?と思えるほど誰もいなくて思う存分じっくり見ることができました。
中でも、片方の手のない亀を見た時に、くぎづけになった子どもたち。その訳を説明すると、真剣な表情で聞き入っていました。
その亀が片手を動かし泳いだ時に、「ガンバレー」と何人もの子どもが応援をしていました。

 たっぷりと時間があったので、すべてのショーを最前列で見ることができ大満足。
セイウチの大迫力の食事タイムを見たり、ガラス越しに「チュー」をしてくれて大笑いをしました。お弁当を食べた後も、水族館内を見てまわり、余すことなく水族館を満喫しました。
帰りの電車の中で、弓里子があやとり先生となり、みんなに「ホウキ」を教えていました。「ここのトンネルをくぐって・・・」ととってもはきはきとしたやさしい先生でした。自信を持って教えている弓里子はとっても輝いていましたよ。(家で涙を流して覚えた甲斐があったね!)

~かもめ合宿編~

 お風呂に入り、さっぱりした子どもたちのお楽しみの時間になりました。
石田に誘われホールに入ってみると・・・、木の箱みたいのがあった。
「でーてこい、でてこい こい」とつられて歌いだすと、木のとびらが開き紙芝居が始まりました。今回のお話は、「チポリーノのぼうけん」。歌ではおなじみですが、お話を聞くのは初めてです。いつも、にぎやかな子どもたちが、この日はちょっと違いました。ほとんどの子が身動きひとつしないで、お話の世界へ引き込まれているようでした。お話が終わると、自然に子どもたちの口から「チポリーノ、チポリーノ」と歌が出てきました。みんなで歌っていると、高川がホールへ入ってきました。
ピアノを弾く高川へ、賢力が次々と歌のリクエストをします。こんな賢力は初めて見ます。歌をたくさん歌ったからかお腹が空いてきたな・・。

 待ちに待った本日最高のおたのしみ!!夕食の時間。
「もうーいいかーい」「もうーいいよー」と返事が返ったとたん、ガラリと第2園舎のドアをあけ、子どもたちの目に飛び込んできたのは、なんと、豪華なお刺身。よく見ると、さっき紙芝居に出てきたたまねぎ坊やの「たまねぎの肉詰め」があります。ランチョンマットはチポリーノの登場人物のものでした。
「お刺身好き」壱太の顔が笑顔になり、パクパク食べ始めました。ご飯たっぷりの手巻き寿司。お刺身よりも子どもたちの人気は、納豆、シーチキン、イクラ、トビッコのようでした。
大人がびっくりする位食べた後、デザートが登場!!「あっ!オレンジジュースダ」「イチゴのケーキ(ババロア)だ」と子どもたちが喜びます。「でも、これってどこかで見たような・・・」と大人の問いかけにハッと気がつき、「眠り薬が入っているオレンジジュースだ」「トマト騎士が食べて寝ちゃったイチゴのケーキ」とお話の中の出来事と一致させていました。(さすが!お母さんたちのアイディア)。それを口にしてあっという間に眠ってしまった人は誰だったでしょう・・・。考えてみてね。
 心とお腹が十分に満足した子どもたちは、一日の疲れであっという間の就寝となり一日が終わりました。

~2日目の朝食編~

 6時までぐっすり眠った子どもたち。起きてすぐ、泰資郎「今日のご飯なんだろう」と朝食の話をしていました。食欲は意欲につながります。大事なことです。なかなか動けず、布団の上で座り込んでいる子がいる中、自分の事をテキパキとこなしていたのは、彩希でした。普段見慣れない子どもたちの姿をいろいろと見ることができた合宿でした。
 いい香りがホールへ流れてきた頃、朝食の時間がきました。期待で目がキラキラしてきた子どもたち。かに組の部屋へ行ってみると、用意してあったのは食パンでできたパンのお城。「あっ!かぶこさんがいる!」「さくらんぼぼうや!」「いちごさん・・・」そうです、チポリーノの世界が広がっていたんです。それを必死になって探し当てていました。「トマト騎士とレモン大公は?」「あっこれだー」スープの中のトマト(ミネストローネ)に気がつきました。「ゴロゴロころがったからスープになったんだね」。ちゃんとレモンはレモネードになっていました。もちろん、どれもとってもおいしく食べました。

 お母さんたちの知恵を出し合い、愛情たっぷりの食事に感動の2日間でした。
本当にお疲れさまでした!!。朝食の後は、高川が紙芝居を読んでくれたり、賢力と壱太のお母さんたちが加わり、ドッチボールをしました。
 あっという間に合宿が終わり、「次は10回泊まりたい」駿。「こんだけ泊まりたい(両足と両手を見せて)」健心、と早くも次の合宿を楽しみにしていた子どもたちでした。さて、次はどこの合宿にしようかな?

(石田 記)